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第三十二話 : 死闘!サハラ砂漠篇、の巻
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さて、アルジェでビザ買いやらなにやらで
ちょっと手間取ってしまい、
思いのほか長居をしてしまったロクデナシ君、
いよいよサハラ砂漠縦断に向けて出発!
前にも言ったと思うけど、
とにかく南に行きゃあ、サハラ砂漠をこえて
マリに着くだろう、ってんで
南だああっ!
でも、ちょっとおちついて地図でも見てみるか、
ってんで、
レストランガイドで有名な
フランスはミシュラン社(あの、ほら、
ミシュランの三ツ星だとか、いう、あれだよ)
の地図を見てみたんだよ
今はどうか知らないけど、
当時はアフリカの地図っていえば
もうミシュランしかない、
ってくらいだったよ
だからおいらもアフリカにつくやいなや、
チュニスの本屋で買ったんだ、
ミシュランの「アフリカ北部」っていう地図を
いや、まてよ、「アフリカ北西部」だったかな?
たしか、アフリカ全土を3つにわけてたんだよね。
あとは、東と南、の二部だったかなあ。。。
バカヤローめが!どうでもいいんだ、そんなはなし!
とっとと先へ進みやがれ!
(読者怒りの俳句)
まあとにかく、当時はアフリカの地図っていえば
圧倒的にミシュラン社だったね
とくに、アフリカ北西部と西部は
もとフランスの植民地だった国が多いから
もうミシュラン社の独占状態みたいだったよ
よけいな話が長くなっちゃったけど
とにかく出発前に地図を広げてみたら
なんとアルジェから南に向かって鉄道があるのを発見!
なんども言ってきたけど、
このあたりは世界でももっともヒッチハイクがしやすい場所なんだよ
だから、汽車に金払って乗るのはもったいねえな、
と思ったんだけど。。。
アフリカって汽車があんまり走ってないし、
めずらしいから乗ってみるか、ってんで
乗ったらこれが大正解!
景色がすばらしかったんだよ
アルジェを出発してしばらくは、
ああいうのを地中海性気候っていうんだろうね、
オレンジやオリーブの木々にしげる緑濃い葉、
その合間に見え隠れするたわわに実るうまそうなオレンジ!
このあたりのオレンジはホントにめちゃくちゃうまいし、
死ぬほど安いもんだから、
毎日喰いまくってあのころは毎日ゲリっぽかったくらい
きたねえはなしでごめんよ
でも、そういう見渡すかぎり緑とオレンジの色彩は
目にやさしくて、こころがなごんだね
荒みきったおいらのこころでさえね
ふんっ!だ
でね、さらに南下していくと、
いきなりけっこう険しい山地に入っていくんだよ
ええ~~~っ!
山なんかあるかよ!
って思って地図みたら
これがサハラアトラス山脈っていう
けっこうな山脈なんだね
でこの山々を
ようやく登りつめたとおもったら、
こんどは急に下っていくんだけど、
もうね、景色が一変するんだよ
山の北側はさっきも言ったように
みどり豊かななごみの景色なんだけど、
南側にうつるや否や!!
そこは砂漠の始まりをおもわせる乾燥地帯なんだよ
もう赤茶けた岩と砂ばかりの世界!
地中海からふいてくる湿った風が
このサハラアトラス山脈にあたって雨を降らせるので
北側は温暖な地中海気候
でも雨を降らせて乾いてしまった風はそのまま山を越えて
南側には「おめえに降らせる雨はねえっ!」
ていうあまりにもつめたい仕打ち
その結果、地中海に捨て去られた南側には
ただただ乾燥地帯がひろがる、ってわけね
(ロクデナシ君の知ったかぶり地理講座、しかも受け売り)
それが、南に行くに連れて
あれよあれよという間に
どんどん乾燥度を増していって、
気がついたらもうあたりは砂漠ちゃん!
ようやく着いた小さな街がジェルファっていうとこ
疲れたけど、
なかなか見所のたくさんある
汽車の旅だったわい
ってんで満足してこの街に一泊
翌朝からヒッチでさらに南下開始
でね、さばくってさあ、、、
砂が一杯で砂の丘が延々波打って続いている、
ってイメージでしょう?
ところがどっこい、
そうは問屋が簡単には卸してくれねえんだよ
ああいうのはね、
砂丘っていって、さばくのほんの一部に過ぎないんだよ
まあいいや、この話はサハラのもっと真ん中ちかくまで
行ったときにまた話そう
このあたりでおどろいたのはあ、
やたらに起伏が激しい、ってことなんだよ
もうね、
ふか~~~~い谷があるかとおもえば、
反対側には切り立ったたか~~~~いガケ!
で、あちこちにいわゆるひとつの(長嶋茂雄ふう)
オアシスがあって、
そこだけナツメヤシの木なんか生えていて
水があってみどりがあって
いのちがある、ってかんじなのよお
そこはもちろん街や村になっていて、
市場がたったり
バスが停まったり、
羊がメエ~~~ってないたり、
はだかのガキがションベンしてたりするわけ
なんかもう、そういう小さなオアシスをひとつひとつ
全部見ていきたい!
っておもうくらいおもしろそうなんだけど、
そんなことしてたら死ぬまでサハラを越えられねえからよお、
ざんねんだけどそのへんは割愛しつつ旅は続くのよ
で、ジェルファを出てから何日めくらいかなあ。。。
かなりおおきな街に着いたんだ
ガルダイアっていう、なんか響きのいい名前の街だね
たしか、平坦な道が突然谷底に向かって
下っていくようなところだったとおもうんだけど、
まさに突然あらわれるんだよ、
このガルダイアのヤローがよお
それがねえ
ものすごくインパクトの強い街で
街全体がなんというか、バカでかい三角形の山みたいな形でね、
てっぺんにイスラムの塔みたいのがそびえ立ってるんだ
そこから下にむかって斜面にびっしり家が建ってるんだよ
街はものすごくにぎわっていて、
砂漠のなかだっていうのに
いろとりどりの野菜や果物なんかもけっこうあってね、
ここで喰った羊の肉のせライスが
めっちゃうまかったなあ。。
あれ、もう一回くいてえなあ(よだれ)
ところが!!
好事魔多し!とのことわざのごとく!
ハラいっぱいになって
にぎわう道を歩ってたら!!!
いきなりっ!だよ
もうホントにいきなりっ!!!
うしろからハゲしい体当たりくらってさあ!!!
すわ!強盗かっ!ってんで
身構えたら。。。
うしろにいたのはいっぴきの ヒ・ツ・ジ!
いまだに理由はわからねえんだけど
そのヒツ公(ひつじのことね)がよお
おいらのキュートなツーケに(ケツのことね)
はげしく頭突きをくらわしやがったのよ!
「てめえ、なんでこんなことしやがるんだあああっ!!
おいらが誰だか知ってのことかああああっ!」って
やさしく理由をきいても、
日本語も英語もフランス語もつうじねえし
まったく教養のねえヒツ公はこまったもんだよ
でもね、
もしかしたら
直前においらが喰ったヒツジ肉のせライスのヒツジは
あのヒツ公の友達だったのかなあ。。。。
おいらにダチ公のカタキウチでもしたかったのかなあ。。
なんて考えたら。。
なんだかかわいそうになっちゃって、、、
なんてことにはまったくならず
怒り心頭に達したおいらは
おもいっきりそのゆるんだシボウケツに
秒速20メートルのまわしげりを入れて
正義の鉄槌を喰らわせてやったのよ
けっ!
これに懲りたら二度と日本人をなめるんじゃねえぞ!
と、ちょっと小粋な捨てゼリフをのこして
夕陽傾くガルダイアの丘を下っていく
ちょっとおセンチな
ロクデナシ君だったのでありました
「死闘!サハラ砂漠篇」 完
[9回]
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